医療保険の入院給付金とは?設定額の決め方や保障、支払日数について把握しよう

入院給付金の設定

医療保険の入院給付金とは?設定額の決め方や保障、支払日数について把握しよう

医療保険の入院給付金は、病気やケガの治療で入院したときに保険会社から支払われるお金です。本記事では、入院給付金の概要と給付金額の決め方を解説します。入院給付金が支払われないケースや支払限度日数についても説明するので、ぜひ参考にしてください。

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目次

医療保険の入院給付金とは?

入院給付金は、医療保険の保障の1つです。入院給付金をいくらに設定するかによって、入院した際に受け取れる金額や保険料が変わってきます。まずは入院給付金の概要を理解しましょう。

入院した際にもらえるお金

医療保険の入院給付金は、病気やケガの治療で入院した際に保険会社から支払われるお金です。
日本には公的医療保険制度があり、病院にかかった際の自己負担割合は1~3割のみです。しかし、病気やケガで入院すると自己負担額以外にもさまざまな費用がかかります。
医療保険の入院給付金は、そのような公的医療保険ではカバーできない費用をまかなうためのものです。

入院給付金の種類

医療保険の入院給付金は、受け取り方により2種類に分けられます。長期の入院に備えたい、入院の際のまとまった費用に備えたいなどの目的に応じて選択しましょう。

日額タイプ

医療保険の入院給付金は、日額タイプが一般的です。日額タイプは、入院1日ごとに一定額の入院給付金が受け取れるタイプです。1日5,000円、1日1万円など1日あたりの給付金額が決められているため、入院日数が長くなるほど受け取れる金額が大きくなります。
日額タイプの保険には、入院日数が1日でも一律5日分や10日分の一時金が受け取れるものもあります。

一時金タイプ

一時金タイプは、入院日数にかかわらずある程度まとまった金額の一時金を受け取れるタイプです。医療保険によっては、日帰り入院でも一時金が受け取れます。近年の入院日数は短くなっているため、短期入院でもまとまった給付金を受け取れるのは安心です。
一時金のみ受け取れる医療保険もあれば、日額の給付金と一時金の両方を受け取れる保険もあります。

入院給付金の支払限度日数

医療保険の入院給付金は、1回の入院に対して保障される日数や通算の保障日数に上限が設けられています。保険ごとに支払限度日数が異なるため、契約前に確認しておきましょう。

1入院あたりの支払限度日数

1回の入院に対する支払限度日数は、60日または120日が一般的です。ただし、30日など支払限度日数が短いものや、360日や730日などの長いものもあります。支払限度日数が短ければ保険料は安くなりますが、支払限度日数を超えた分は保障の対象となりません。
なお、退院後180日以内に再入院した場合は、別の病気でも1回の入院とされる場合があります。

通算支払限度日数

保険期間中の通算支払限度日数も設けられています。通算支払限度日数は1,095日が一般的ですが、他にも700日や730日、1,000日などがあります。入院日数が支払限度日数を超えた場合、超えた分は保障されません。
なお、保険期間が定められている医療保険に加入している場合、契約を更新しても通算支払限度日数は引き継がれます。リセットされるわけではないため、注意しましょう。

入院しても給付金が支払われないケースがある

入院給付金の支払いには、いくつか条件があります。保障が始まっていても、支払事由に当てはまらない場合などは給付金を受け取れません。ここでは、入院給付金が支払われない主なケースを紹介します。

保障の責任開始日前の病気やケガによる入院の場合

入院給付金の支払い対象となるのは、責任開始日以降に起きた病気やケガで入院した場合です。責任開始日前の病気やケガを原因とする入院の場合、給付金は支払われません。
責任開始日(保障が始まる日)は、一般的に告知または第1回保険料の払込日のいずれか遅い方です。
ただし、責任開始日前の病気でも責任開始日以後に症状が悪化し、入院などによる治療が必要だと判断された際は給付金支払いの対象となる場合があります。

入院日数が所定の日数未満の場合

近年は日帰り入院でも入院給付金を受け取れるケースが多くなっていますが、一定日数以上入院した場合のみ給付金が受け取れる保険もあります。例えば、5日以上の入院で支払い対象となる医療保険の場合、入院日数が4日だと入院給付金は受け取れません。

何日目から受け取れるかどうかは保険によって異なるため、加入前に確認しましょう。

以下は、支払対象となる入院日数の例になります。

  • 5日以上入院すると1日目から受け取れる
  • 5日以上入院すると5日目から受け取れる
  • 8日以上入院すると1日目から受け取れる

病気やケガの治療を目的としない入院の場合

入院給付金の支払い対象となるのは、病気やケガの治療を目的に入院した場合です。治療を目的としない以下のようなケースの入院では、入院給付金を受け取れません。

  • 健康診断・人間ドック検査を受け取るための入院
  • 美容上の処置のための入院
  • 疾病を原因としない不妊手術のための入院

免責事由に該当する場合

所定の免責事由に当てはまる場合、入院給付金は受け取れません。例えば、以下のようなケースが該当します。

  • 被保険者の故意または重大な過失
  • 被保険者の犯罪行為
  • 被保険者の精神障害の状態を原因とする事故
  • 被保険者の泥酔の状態を原因とする事故
  • 被保険者が運転資格を持たず運転しているときに起きた事故
  • 被保険者が飲酒運転をしているときに起きた事故
  • 戦争その他の変乱
  • 地震、噴火・津波

免責事由は、保険会社の定める約款で確認できます。どのような場合に入院給付金が支払われないのかを確認したうえで、契約しましょう。

告知義務違反や重大事由で契約を解除された場合

健康状態や過去の傷病歴、職業などについて、事実を告知しないことや虚偽の告知をすることを「告知義務違反」といいます。告知義務違反により保険契約が解除されると、入院給付金を受け取れません。
また、重大事由により契約が解除された場合も給付金は受け取れません。重大事由とは、被保険者が反社会的勢力に該当すると認められる場合や、給付金をだまし取る目的で事故を起こした場合などが該当します。

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医療保険の入院給付金はいくら必要?

入院給付金を多くすれば安心感は高まりますが、その分保険料が高くなります。
入院の際にかかる自己負担額と入院により減少する収入の目安を把握し、その一部を入院給付金でまかなうと考えていくらに設定するのかを決めましょう。
また、入院給付金をいくらにするのかを決める際は、無理のない範囲で保険料を払い込めるかどうかも重要です。

入院にかかる自己負担額の目安

入院給付金を決めるには、入院にどの程度費用がかかるのかを知ることが重要です。
ここでは、生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査(速報版)」をもとに入院の際の平均自己負担額を解説します。

入院時の平均自己負担額

同調査によると、入院時の平均自己負担額は19.8万円でした。分布をみると、10万~20万円未満が3割以上を占めています。一方で、20万円以上かかった人も約3割にのぼる結果です。
調査結果をみると、入院にはある程度まとまった費用が必要なことが分かります。

入院時の自己負担費用割合
5万円未満9.4%
5万~10万円未満26.5%
10万~20万円未満33.7%
20万~30万円未満11.5%
30万~50万円未満10.1%
50万~100万円未満5.8%
100万円以上3.0%

なお、調査結果には治療費のほかに食事代や差額ベッド代、交通費、日用品なども含まれています。

入院1日あたりの平均自己負担額

同調査によると、入院にかかる1日あたりの平均自己負担額は2万700円でした。1万~1万5,000円未満が最も多く、2割以上を占める結果です。一方で、1日あたりの自己負担額が2万円になるケースも少なくないことが分かります。

入院1日あたりの自己負担費用割合
5,000円未満13.8%
5,000円~7,000円未満8.8%
7,000円~1万円未満11.5%
1万円~1万5,000円23.3%
1万5,000円~2万円7.9%
2万円~3万円未満16.0%
3万円~4万円未満5.5%
4万円以上13.2%

入院の際に自己負担となる費用

病気やケガで入院すると、公的医療保険の自己負担部分だけでなく保険適用外の支払いや家族にかかる出費なども発生します。ここでは、入院の際に自己負担となる一般的な費用を解説します。

公的医療保険の自己負担額

日本には公的医療保険制度があり、医療費の一部を公的機関が負担してくれます。6~70歳までの場合、病院にかかったときの自己負担割合は総医療費の3割です。
また、1ヶ月間の医療費が自己負担の上限を超えた場合、高額療養費制度により超えた金額の払い戻しを受けられます。例えば、69歳以下で年収が約370万~770万円の場合、医療費が100万円のときの自己負担上限額は8万7,430円です。

先進医療にかかる費用

先進医療にかかる費用は公的医療保険が適用されず、全額自己負担となります。先進医療とは、公的保険の対象にするかどうかの評価段階にある治療や手術などのことです。

先進医療の費用は、高額になるケースも少なくありません。中央社会保険医療協議会の「令和3年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」をもとに算出すると、陽子線治療は約260万円、重粒子線治療は約320万円の技術料がかかっています。

差額ベッド代

一定の要件を満たす特別療養環境室(個室など)を希望した場合にかかる費用です。差額ベッド代は公的医療保険が適用されず、全額自己負担となります。
保険が厚生労働省の「主な選定療養に係る報告状況」によると、1日あたりの差額ベッド代(2020年7月1日時点)は6,527円でした。入院日数が長くなれば、差額ベッド代の負担も大きくなります。

項目1日あたりの平均
全体平均6,527円
1人室8,221円
2人室3,122円
3人室2,851円
4人室2,641円

食事代

食事代の標準負担額は、1食につき460円です(70歳未満の場合)。つまり、1日あたり1,380円の食事代がかかります。ただし、住民税非課税世帯の標準負担額は、1食につき160~210円です。入院時の食事代は高額療養費制度の対象にはならないため、全額自己負担となります。

なお、標準負担額は平均的な家計の食費をもとに厚生労働大臣が定めた金額です。

その他費用

上記の他にも、入院中の衣類や日用品の費用などがかかります。家族がお見舞いに来る際の交通費や駐車場代、ガソリン代がかかることも考えておく必要があるでしょう。また、家族がいる家庭は一時預かりなどの外部サービスの利用が増えることも予想されます。

入院による収入減少のリスク

病気やケガで入院する、仕事を休まざるを得ず、収入が減少するリスクもあります。生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査(速報版)」によると、逸失収入(将来得られたであろう収入の損害)があった人は17.4%にのぼります。
また、逸失収入の平均は30.2万円です。20万円未満が6割以上を占めている一方で、逸失収入が100万円以上の方も約1割いるという結果でした。

傷病手当金とは

会社員や公務員の場合は、病気やケガで会社を休むと傷病手当金を受け取れる可能性があります。傷病手当金は、連続する3日間(待期期間)の後、4日目以降の働けなかった日に対して支給される手当です。支給開始日から1年6ヶ月間、給与の3分の2相当が受け取れるため入院による収入減少を一部カバーできます。
ただし、個人事業主が加入する国民健康保険には傷病手当金の制度はありません。

支払限度日数はどれだけ必要?

支払限度日数を長く設定すれば安心感は高まりますが、その分保険料が高くなります。特に近年は入院日数が短期化しているため、長くすれば良いわけではありません。
支払限度日数を決めるのが難しい場合は、平均入院日数を目安に設定すると良いでしょう。

平均入院日数

厚生労働省の「令和2年(2020)患者調査の概況」によると、平均入院日数は32.3日でした。推移をみてみると、短期化の傾向にあることが分かります。

平均在院日数
1989年44日
1990年44.9日
1993年41.9日
1996年40.8日
1999年39.3日
2002年37.9日
2005年37.5日
2008年35.6日
2011年32.8日
2014年31.9日
2017年29.3日
2020年32.3日

実際に何日入院するのかは予測できませんが、平均入院日数を目安にすると支払限度日数が60日あれば良いといえるでしょう。

病気やケガによって異なる

平均入院日数は、病気やケガによって異なります。同調査によると、主な病気・ケガ別の平均入院日数は以下のとおりです。

傷病の種類平均入院日数
結核59.5日
悪性新生物(腫瘍)19.6日
血液・造血器の疾患23.4日
糖尿病30.6日
血管性・詳細不明の認知症312.0日
統合失調症・統合失調症型障害・妄想性障害570.6日
気分障害137.4日
アルツハイマー病273.0日
高血圧性疾患41.5日
脳血管疾患77.4日
肺炎38.0日
肝疾患23.4日
慢性腎臓病53.4日
骨折38.5日

調査結果をみると、平均入院日数は多くの場合60日以内です。
ただし、統合失調症やアルツハイマー症のように入院日数が長期になる病気もあります。入院が長期にわたる場合は支払限度日数が長いと安心ですが、保険料が家計を圧迫するのは本末転倒です。保険料とのバランスをみて、支払限度日数を決めましょう。

まとめ

医療保険の入院給付金は、病気やケガで入院した際に支払われるお金です。入院時の自己負担額と減少する収入を把握し、不足する資金の一部をまかなうと考えて入院給付金をいくらに設定するのかを決めましょう。入院給付金を多くするほど保険料は高くなるため、払い続けられる保険料かどうかもあわせて検討してみてください。

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