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【FP目線で考える4】なぜ日本は金利が上がらないのか?

閲覧数:28184

公開日:2021-04-07

更新日:2024-04-27

著者: ほけん知恵袋

以前、お客様とお話をしている際に、「なんで日本は金利が上がらないの?」という質問を受けました。

現在日本は超低金利時代に突入しており、銀行の普通預金の金利は0.001%という状況であることは、みなさんもご存知かと思いますが、その理由を考えてみることというのは大切なことなのではないかと思い、教科書の知識をフル回転して、要因を紐解いてみました。


 

金利の動きのメカニズムとは?

まずは、一般的に金利がどのような時に上昇したり下落したりするのかを考えてみましょう。

中学校の社会科や高校の政治・経済の復習です。中学校では、

「景気が良い時は金利を上げて景気の過熱を抑制し、景気が悪い時は金利を下げて景気を刺激する」

と習ったのではないかと思います。

景気が良い時は物価が上昇しインフレになることが多いため、バブルにならないよう景気の過熱を抑制する、一方景気が悪い時は物価が下落しデフレになることが多いため、景気を刺激しデフレを改善させる、というメカニズムです。

日本はバブル崩壊以後、不景気に見舞われたことから政策金利を下げ、ゼロ金利政策を導入しました。一度は政策金利を上げたものの、リーマンショック時に不景気となり再びゼロ金利政策を導入、以後金利は下落の一途をたどり、現在はマイナス金利という政策まで導入されています。

米国では、リーマンショックの不景気から立ち直ると同時に政策金利を上げ、景気の過熱を抑制しに動いていました。

となると、日本の景気はずーっと悪いままなの?と思われると思いますが、株価の動きを見ればわかるようにずっと景気が悪いというわけではありません。企業の決算は最高益なんてニュースも聞いたことあるのではないでしょうか?ですが、金利は低いままなのです。すると中学校の社会科で学習したことと矛盾してきてしまいますね…。

 

債券価格と金利の関係

ここで、もう1つ見ていきたいのが、債券(国債)価格と金利の動きです。一般的には、

「金利が上昇すると債券(国債)価格が下落し、金利が下落すると債券(国債)価格は上昇する」

という関係が成り立ちます。ここでは債券は国が発行する債券と捉えて考えていくこととしましょう。

たとえば、みなさんが金利(クーポンといいます)0.5%の国債を保有しているとして、次に発行される国債の金利(クーポン)が1.0%だった場合、保有している国債の価値はどうなるか?と考えてみるとわかりやすいかもしれません。金利が上昇すれば、保有している債券の価値は下がり価格は下落するということですね。逆のパターンも同じように考えてみるといいと思います。

現在の日本の状況は金利が下落している状況ですので、裏を返せば国債の価格が上昇しているということになります。


 

なぜ国債の価格は上昇しているのか?

では、国債の価格が上昇している時というのはどういう時でしょうか?

答えは、国債が買われている時です。債券も株と同様で、債券が大きく買われている時は価格が上昇します。ですので、現在の日本の状態は、

「金利が下落している=国債の価格が上昇している → 国債が買われている」

という状況であることになります。しかし株価は上昇しているため、投資家の方々が株を購入する資金を債券に流しているという景気が悪い時に起きる現象ではないこともわかるのではないかと思います。

となると、国債を誰が、そして何のために購入しているのでしょうか?

 

日本銀行の施策を読み解く

現在、日本銀行では「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を実施しています。ここではその内容を細かくは見ていきませんが、この「量的・質的金融緩和」は、当初2013年4月に導入された日本銀行の金融緩和施策です。

この施策を簡単に説明すると、市場への資金供給量や長期国債・ETF(上場投資信託)の買入額を増やすことで金融緩和を行うというものです。国債にフォーカスを当てるのであれば、日本銀行が国債を買い取る量を増やすことにより、金融市場に供給する資金量を増やす金融緩和施策ということになります。

詳しくは日本銀行HPのQ&Aを参考にしてみてください。

 

「量的・質的金融緩和」と財政出動による国債価格の上昇と金利の下落

アベノミクスでは、インフレ率2%という目標を掲げ、それを達成するために「量的・質的金融緩和」とともに、新規に国債を発行する財政出動も行ってきました。

国が国債を新たに発行すると、国債の量が増えるため国債の価格は下落し、金利は上昇します。

しかし、この「量的・質的金融緩和」により、日銀が国債を買い取る量が増えたため、それ以上に国債の価格が上昇、結果的に金利下落しているというのが現在の日本の状況なのではないかと思います。

つまり、インフレ率2%の達成がなされておらず、日本銀行が「量的・質的金融緩和」を継続していることが日本の金利が上がらない要因の1つであり、みなさんの預金金利が超低金利のままであることにつながっている、と考えられるのではないでしょうか?


 

まとめ

日本の金利が上がらない要因の1つに過ぎないとは思いますが、教科書の知識をフル回転して考えてみると、金利が上がらないメカニズムは非常にシンプルであることが分かりましたね。

金利が上がらないのに、物価上昇を目指しているということは、預金金利で保有していてはインフレリスクに対応できないということになります。『【FP目線で考える②】東京ディズニーリゾートのパークチケットの値段から読み解く資産運用の必要性とは?』でもお伝えしたとおり、資産運用の必要性は日に日に高まっていると言えるのではないでしょうか?

本日はここまでになります。
 

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