「健康診断で数値の異常を指摘された」「現在、持病の薬を毎日飲んでいる」……
そんな時、これから先の医療費や万が一の保障を考え、「もう生命保険や医療保険には入れないかもしれない」と不安を抱える方は決して少なくありません。
テレビやインターネットのCMでは「持病があっても入れる保険」というフレーズをよく目にしますが、実際に自分はどの保険を選べばいいのか、本当にCMの保険に入って損はないのか、悩んでしまいますよね。
結論からお伝えします。持病や既往症(過去にかかった病気)があっても、保険に入ることは十分に可能です!
しかし、最初から「持病がある人向けの保険」に飛びついてしまうのは早計です。
あなたの健康状態や病気の経過によっては、保険料が安く保障が手厚い「通常の保険」に入れる可能性がまだまだ残されているからです。
この記事では、ファイナンシャルプランナー(FP)の専門的な視点から、保険に加入しづらい病気の仕組み、持病がある方が選べる「3つの保険の種類」、そして損をしないための選び方や注意点まで、保険初心者の方にもわかりやすく徹底解説します。
第1章:なぜ持病があると保険に入りづらいのか?
【判断材料①:保険の仕組みと健康状態】
そもそも、なぜ病気や持病があると、生命保険や医療保険に加入しづらくなってしまうのでしょうか。まずは、保険の成り立ちと診査の仕組みを知ることから始めましょう。
1. 保険を支える「相互扶助(そうごふじょ)」のルール
保険は、大勢の人たちがお金を出し合って大きな財布(保険財政)を作り、誰かが病気やケガ、死亡といったトラブルに遭ったときに、その財布からお金(給付金や保険金)を出して助け合う「相互扶助(そうごふじょ)」という仕組みで成り立っています。
もし、すでに大きな病気を患っている人や、入院・手術をする可能性が極めて高い人が、健康な人と同じ条件・同じ保険料で自由に保険に入れてしまったらどうなるでしょうか?
病気のリスクが高い人にばかり保険金が支払われ、健康な人が払った保険料があっという間に底をついてしまいます。これでは、お金を出し合う人たちの間に「不公平」が生じ、助け合いの仕組みそのものが崩壊してしまいます。
そのため、保険会社は加入者全員の公平性を保つために、契約前に健康状態を正しく申告してもらう「告知(こくち)」を求め、一定の基準で診査を行っているのです。
2. 保険会社は「告知内容」のどこをチェックしている?
保険に入るための診査(引き受け診査)では、主に以下の4つのポイントから、被保険者(保険の対象になる人)のリスクを総合的に評価しています。
- 死亡や入院、手術の可能性の高さ(今すぐ病気になりやすい状態か)
- 病気の再発や悪化、合併症のリスク(過去の病気が再び出ないか)
- 現在の治療内容と服薬状況(どんな薬をどれくらい飲んでいるか)
- 過去数年間の診察・検査・治療の履歴(定期的な通院や指導歴があるか)
「薬を飲んでいるから絶対に入れない」というわけではありません。
保険会社はこれらを総合的に見て、「この健康状態なら通常の条件で引き受けよう」「このリスクなら特別な条件を付ければお引き受けできそうだ」と判断しているのです。
第2章:一般的な保険に加入しづらい主な病気とその理由
【判断材料②】
持病があるからといって100%保険を諦める必要はありませんが、一般的な保険の診査において「引き受けのハードルが高くなりやすい病気」には一定の傾向があります。
ここでは、代表的な疾患と、なぜ診査で注意が必要とされるのか、その専門的な理由を解説します。
1. がん(悪性新生物)・上皮内がん
- 加入しづらい理由: 治療が一度終わったように見えても、数年間にわたり再発や転移のリスクが高いと判断されるためです。入院や手術、長期間の通院治療が必要になる可能性や、死亡リスクが考慮されます。
2. 脳血管疾患(脳梗塞・脳出血など)/ 心疾患(心筋梗塞・狭心症など)
- 加入しづらい理由: 日本人の三大死因の代表格であり、一度発症すると再発時の死亡リスクが極めて高いこと、また入院やリハビリ治療が長期化しやすく、後遺症が残るリスクも高いと判断されるためです。
3. 糖尿病・高血圧などの生活習慣病
- 加入しづらい理由: 糖尿病や高血圧そのものよりも、血管を傷つけることによって引き起こされる「重篤な合併症」(網膜症による失明、人工透析が必要な腎症、心筋梗塞や脳梗塞など)の発症リスクが非常に高いことが懸念されるためです。
4. 肝疾患(脂肪肝・肝炎・肝硬変)/ 腎疾患(慢性腎臓病など)
- 加入しづらい理由: 肝臓や腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、初期には自覚症状がほとんどありません。しかし、慢性肝炎から「肝硬変」「肝がん」へ、あるいは慢性腎臓病から「人工透析」へと、将来的に重篤な状態へ進行するリスクが高いと判断されるためです。
5. 呼吸器疾患(肺気腫・COPD・結核など)
- 加入しづらい理由: 慢性的な呼吸器の疾患は進行性であることが多く、風邪やインフルエンザなどをきっかけに重症化し、肺炎などの合併症や長期入院、死亡につながるリスクが高いためです。
6. 指定難病(潰瘍性大腸炎、パーキンソン病など)
- 加入しづらい理由: 現代の医学においても根本的な治療法が確立されていないケースが多く、長期的な療養や継続的な医療費の発生が見込まれるためです。
7. 精神疾患(うつ病、適応障害など)/ 認知症
- 加入しづらい理由: うつ病などの精神疾患は、治療の長期化や再発の傾向が強いこと、また統計的に自殺リスクなどが考慮されます。認知症(アルツハイマー病など)に関しては、「保険契約を結ぶための判断能力(契約能力)」が低下または喪失しているとみなされ、契約そのものができなくなることが一般的です。
第3章:持病があっても加入できる「3つの保険の種類」とメリット・デメリット
ここからが本番です。もしあなたの持病が前章のリストに当てはまっていたとしても、悲観する必要はありません。現代は保険商品が多様化しており、持病がある方に向けて主に「3つの選択肢」が用意されています。
それぞれの特徴とメリット・デメリットをしっかり比較し、自分に合う選択肢を見極めましょう。
選択肢①:通常の保険(「特別条件」付きでの加入)
最も理想的なのが、健康な人と同じ「通常の保険」に、ご自身の持病に応じた「特別な条件(特別条件承諾)」を付けて加入する方法です。
特別条件には、主に以下の3つのパターンがあります。
1. 特定疾病・特定部位不担保(とくていしっべい・とくていぶいふたんぽ)
特定の病気や、体の特定の部位(臓器など)に関してだけ、「一定期間(1年・3年・5年など)」または「全期間(終身)」、保障の対象外にするという条件です。
- 「特定疾病不担保」と「特定部位不担保」の違いに注意!例えば、過去に胃潰瘍を患った場合を比較してみましょう。
- 特定疾病不担保(病気を指定): 「胃潰瘍」が対象外になります。そのため、もし「胃がん」や「胃炎」で入院した場合は、問題なく給付金が受け取れます。
- 特定部位不担保(体の部位を指定): 「胃」という臓器そのものが対象外になります。この場合、胃潰瘍だけでなく、胃がんでも胃ポリープでも、胃に関連するすべての治療・入院が保障対象外となります。そのため、部位不担保の方が条件は厳しくなります。
2. 割増保険料(わりましほけんりょう)
持病のリスクに応じて、通常の保険料に少しお金を上乗せ(特別保険料をプラス)して支払う条件です。
保障内容は健康な人とまったく同じで、不担保(対象外の病気)がないのが特徴です。
3. 保険金削減支払(ほけんきんさくげんしはらい)
契約から1〜3年などの一定期間内に病気で死亡した場合に、受け取れる死亡保険金が減額される仕組みです。
一定期間を無事に経過すれば、その後は満額の保障が得られます。
| 項目 | メリット・デメリット |
| メリット | ● 不担保や削減支払の条件であれば、保険料は通常の安い金額のまま入れる。 ● 条件として外された病気・部位以外の病気やケガは、手厚くカバーされる。 |
| デメリット | ● 持病そのものが悪化したときや、指定された部位の病気が保障されない。 ● 割増保険料になった場合は、通常の保険料よりも高くなる。 |
選択肢②:引受基準緩和型保険(ひきうけきじゅんかんわがたほけん)
テレビCMなどで「持病があっても入りやすい!」「服薬中でもOK!」と宣伝されている保険の多くが、この「引受基準緩和型保険(緩和型)」です。 健康状態を尋ねる質問(告知項目)がたったの2〜3項目程度に絞られており、その質問にすべて「いいえ」であれば加入できる仕組みになっています。
【告知項目の代表例】
- 最近3ヶ月以内に、医師から入院や手術、検査を勧められたことがありますか?
- 過去2年〜5年以内に、病気やケガで入院または手術をしたことがありますか?
- 過去5年以内に、がん・肝硬変・認知症などで医師の診察・治療・投薬を受けたことがありますか?
| 項目 | メリット・デメリット |
| メリット | ● 告知項目が少なく、持病がある人でも圧倒的に加入しやすい。 ● 加入後であれば、持病が悪化して入院・手術をしても、原則として給付金の対象になる! |
| デメリット | ● 通常の保険に比べて、保険料が約1.2〜1.5倍ほど割高になる。 ● 商品によっては、「加入初年度(1年間)は、給付金や保険金の支払額が50%(半額)になる」という削減期間がある。 ※近年は、初年度から満額受け取れるお得な商品も増えています! |
選択肢③:無選択型保険(むせんたくがたほけん)
加入を申し込む際に、健康状態の告知や医師の診査が「一切不要」な保険です。健康状態をまったく問われないため、現在大きな持病の治療中である方でも、年齢などの条件さえ満たせば加入することができます。
| 項目 | メリット・デメリット |
| メリット | ● 告知が一切ないため、持病の重さに関係なく誰でも加入できる可能性が極めて高い。 |
| デメリット | ● 3つの選択肢の中で、保険料がもっとも高い(極めて割高)。 ● 契約から1年〜2年以内に病気で死亡した場合は、死亡保険金が出ず、**「それまでに払った保険料がそのまま返還されるだけ」**という制限が一般的(実質的な病気死亡の保障がすぐには始まらない)。 ※ただし、交通事故などの「災害」による死亡の場合は、契約直後でも満額支払われます。 |
第4章:【FPが教える】損しない保険選びの正しい順序と実例
持病がある人が保険選びで最もやってはいけない失敗は、「最初から割高な『引受基準緩和型保険』や『無選択型保険』を選んでしまうこと」です。
毎月の保険料は数百円〜数千円の差でも、10年・20年と払い続ければ数十万円〜数百万円という大きな差額になってしまいます。損をしないためには、以下の順序で探す「階段式(ステップダウン)チョイス」が絶対の鉄則です!
賢い保険選びの黄金ルール「階段式チョイス」
- 【STEP 1】まずは「通常の保険」にチャレンジする!持病があっても、まずは健康な人と同じ通常の保険(特別条件なし、または不担保や割増などの条件付き)を狙いましょう。保険料を最も安く抑えられます。
- 【STEP 2】通常保険が難しければ「引受基準緩和型」を検討するSTEP 1で複数の保険会社の審査に落ちてしまった場合や、提示された特別条件が厳しすぎる場合に、初めて「緩和型」を選択肢に入れます。
- 【STEP 3】最終手段として「無選択型」や公的保障とのバランスを考えるどうしても緩和型にも入れない場合の最終手段として検討します。
【よくある実例で解説】選び方次第でここまで変わる!
⭕️ 成功実例:Aさん(40代男性・高血圧で毎日服薬中)
Aさんは「毎日血圧の薬を飲んでいるから、もう通常の保険は無理だ。CMで見る緩和型にしよう」と思い込んでいました。
しかし、FPに相談して「通常の医療保険」に申し込んでみたところ、血圧の数値が長年安定していたことが評価され、なんと「特別な条件なしで、健康な人と同じ安い保険料」で加入することができたのです!緩和型に入っていた場合と比べ、年間で約4万円、10年間で約40万円以上も保険料を節約できました。
❌ 失敗実例:Bさん(50代女性・3年前に子宮筋腫で入院・手術歴あり)
Bさんは「過去に入院・手術歴があるから入れる保険がない」と焦り、告知不要の「無選択型保険」に急いで加入してしまいました。
しかし、実はBさんの状態なら、通常の医療保険に「子宮部位の3年間不担保(3年経てば子宮の病気も保障される)」という条件で入れる可能性が十分にあったのです。
知らずに、もっとも割高で条件の厳しい保険料を払い続けてしまうという手痛い失敗をしてしまいました。
第5章:持病がある人が契約前に絶対に知っておくべき4つの注意点
最後に、持病がある方が安心して保険に加入し、万が一のときに確実に給付金を受け取るために、絶対に守っていただきたい4つの注意点を解説します。
1. ありのままを伝える!「正確な告知」を徹底する
「過去の入院歴を隠せば、安い通常の保険に入れるかも……」という考えは絶対にNGです!
事実と異なる申告をしたり、意図的に病歴を隠したりすると「告知義務違反(こくちぎむいはん)」となります。
告知義務違反が発覚すると、いざ入院や手術をして給付金を請求しても、お金が一切支払われないばかりか、保険契約そのものが強制的に解除(解約)されてしまいます。悪意はなく「うっかり忘れていた」という場合でも違反になることがあるため、お薬手帳や健康診断の主な結果をお手元に用意し、正確かつ詳細に告知を行いましょう。
2. 病気や治療の「改善状況」を記録し、アピールする
これまでの治療の経過や、血液検査などの数値を記録・整理しておきましょう。
特に、生活習慣病などで「以前は数値が悪かったが、食生活の改善や服薬によって現在は正常値に戻っている」という場合、その改善状況を証明する検査結果を提出することで、より有利な条件(割増保険料なしなど)で保険に入れるケースがあります。
3. 「1社だけ」で諦めない!複数の保険会社を比較する
実は、保険の引き受け診査の基準(引受基準)は、保険会社によって驚くほど異なります。
「A社では断られたが、B社では一部不担保の条件で入れた」「C社ではなんと通常通り入れた!」というケースは、私たちFPの現場でも日常茶飯事です。1社で断られたからと諦めず、必ず複数の保険会社の特徴や基準を比較検討することが大切です。
4. 健康状態が改善したら「保険の見直し(乗り換え)」を検討する
もし現在、割高な「引受基準緩和型保険」や「無選択型保険」に加入している方でも、一度入ったら一生そのままでいなければならないわけではありません。
その後の治療が順調に進み、完治して数年が経過したり、数年間の通院で健康状態が劇的に改善したりした場合は、将来的に保険料の安い「通常の保険」へ入り直す(見直す)ことが可能です。
ご自身の健康状態のステップアップに合わせて、保険も賢く見直していきましょう。
まとめ:病気があっても諦めない!あなたにぴったりの安心を手に入れよう
持病や既往症がある方の保険選びについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
- 持病があっても、保険に入れないわけではない!
- まずは保険料の安い「通常の保険(特別条件付き含む)」から探す「階段式チョイス」が鉄則!
- CMの「緩和型」「無選択型」に最初から飛びつかないこと!
- 給付金トラブルを防ぐため、お薬手帳などを見て「正確な告知」を行うこと!
日本には「高額療養費制度」などの素晴らしい公的医療保険制度もあります。
しかし、長期的な通院費や、入院時の差額ベッド代・食事代・収入減少への備えとして、民間の保険はとても大きな心強い味方になってくれます。
とは言え、数ある保険会社や無数の商品の中から、自分の持病の状態で「どこの会社なら安く入れるのか」「どの特別条件なら損をしないのか」を自分一人で見極めるのは非常に困難です。
そんな時こそ、お金と保険の専門家であるファイナンシャルプランナー(FP)の出番です。
各保険会社の審査傾向や最新の保険商品を熟知したプロに相談することで、あなた自身の病状に最も寄り添った、ベストで無駄のない保険選びが必ず実現できます。
ぜひ一度、無料相談などを賢く活用して、あなたとご家族の未来を守る最適なお守りを見つけてくださいね!

