【2025年版】新NISAの基本|ドルコスト平均法のメリット・デメリットを徹底解説

【2025年版】新NISAの基本|ドルコスト平均法のメリット・デメリットを徹底解説

目次

はじめに

「新NISA」制度の開始をきっかけに、これまで投資に馴染みがなかった方も「資産形成」という言葉を耳にする機会が格段に増えたのではないでしょうか。
「老後2000万円問題」やインフレへの備えなど、将来のお金に対する関心が高まる中、「貯蓄から投資へ」の流れはますます加速しています。

しかし、いざ投資を始めようと思っても、「何から手をつければいいかわからない」「専門知識がないと難しそう」「損をするのが怖い」といった不安を感じる方も少なくありません。特に、日々の価格変動に一喜一憂し、最適なタイミングを見計らって売買する「マーケットタイミング」は、プロの投資家でも至難の業です。

そんな投資初心者の強い味方となるのが、今回ご紹介する「ドルコスト平均法」です。

ドルコスト平均法は、投資のタイミングに悩むことなく、感情に左右されずに、誰でも今日から実践できる非常にシンプルかつ合理的な投資手法です。

この記事では、資産形成の基本とも言えるドルコスト平均法について、その仕組みからメリット・デメリット、そして具体的な始め方まで、専門用語をできるだけ使わずに、誰にでもわかるように徹底的に解説していきます。

この記事を読み終える頃には、あなたもきっと「これなら自分にもできそう!」と、資産形成への第一歩を踏み出す勇気が湧いてくるはずです。

第1章:ドルコスト平均法とは?時間を味方につける魔法の投資術

ドルコスト平均法とは、一体どのような投資手法なのでしょうか。 その定義は非常にシンプルです。

「金融商品を、常に一定の金額で、定期的に買い付け続ける方法」

たったこれだけです。 例えば、「毎月1日に、Aという投資信託を3万円分ずつ購入する」といったルールを自分で決めて、それを淡々と実行し続ける。これがドルコスト平均法です。

ポイントは2つあります。

  1. 購入する「金額」が一定であること
    • 「毎月100口ずつ買う」といったように数量を固定するのではなく、「毎月3万円ずつ買う」というように金額を固定します。
  2. 購入する「タイミング」が定期的であること
    • 「毎月1日」「毎月25日(給料日)」など、あらかじめ決めたタイミングで機械的に購入を続けます。

なぜ、このように金額とタイミングを固定することが重要なのでしょうか。 それは、金融商品の価格(基準価額)が常に変動しているからです。
価格が変動する中で、毎回同じ「金額」を投資し続けると、価格が安いときにはたくさん(多くの口数を)購入でき、価格が高いときには少ししか(少ない口数を)購入できないという現象が自動的に起こります。

これにより、結果的に平均購入単価を引き下げる効果が期待できるのです。
この「平均購入単価の引き下げ」こそが、ドルコスト平均法が持つ最大の強みであり、”時間を味方につける魔法”と呼ばれる所以です。

次の章では、具体的な例を使って、この効果をシミュレーションしてみましょう。

第2章:【クイズで実践!】ドルコスト平均法の驚くべき効果

百聞は一見に如かず。ここで、ある金融商品を例に、ドルコスト平均法の効果を見ていきましょう。

【問題設定】
ここに、価格が変動する金融商品があります。 当初の価格は1口10,000円でした。
1ヶ月後、価格は半値の1口5,000円に下落してしまいました。
さらに1ヶ月後、価格は元の1口10,000円に戻りました。

さて、ここにAさんとBさんという2人の投資家がいます。

2人とも、合計で30,000円をこの金融商品に投資しました。ただし、投資の仕方が異なります。

  • Aさん:「一括投資」
    • 最初の月に、持っていた30,000円を一度にすべて投資しました。
  • Bさん:「ドルコスト平均法(分割投資)」
    • 毎月10,000円ずつ、3ヶ月にわたってコツコツと投資を続けました。

3ヶ月後、どちらの資産評価額が高くなっているでしょうか?

【Aさん(一括投資)のケース】

Aさんは、価格が1口10,000円のときに30,000円を投資しました。 したがって、Aさんが購入できた口数は、

30,000円÷10,000円/口=3口です。

3ヶ月後の価格は10,000円に戻っていますから、Aさんの資産評価額は、

10,000円/口×3口=30,000円 となり、投資元本と変わらず、利益も損失もありませんでした。

【Bさん(ドルコスト平均法)のケース】

Bさんは、毎月10,000円ずつ投資しました。各月で購入できた口数を見てみましょう。

  • 1ヶ月目(価格10,000円/口): 10,000円÷10,000円/口=1口
  • 2ヶ月目(価格 5,000円/口): 10,000円÷5,000円/口=2口
  • 3ヶ月目(価格10,000円/口): 10,000円÷10,000円/口=1口

Bさんが3ヶ月間で取得した合計口数は、

1口+2口+1口=4口です。

3ヶ月後の資産評価額は、10,000円/口×4口=40,000円

となりました。 投資元本はAさんと同じ30,000円ですから、なんと10,000円の利益が出ています!

【結果の考察】

Aさん(一括投資)とBさん(ドルコスト平均法)の投資行動と結果をまとめた表です。
特にBさんが価格が下がった2ヶ月目に多くの口数を購入できている点がポイントです。

登場人物投資スタイル1ヶ月目 (価格:1万円)2ヶ月目 (価格:5千円)3ヶ月目 (価格:1万円)
Aさん一括投資3万円で3口購入追加投資なし追加投資なし
Bさんドルコスト平均法1万円で1口購入1万円で2口購入1万円で1口購入

【3ヶ月後の結果】

登場人物総投資額総購入口数平均購入単価資産評価額
(単価1万円)
Aさん30,000円3口10,000円30,000円
Bさん30,000円4口7,500円40,000円

AさんとBさんで、なぜこれほどの差が生まれたのでしょうか。 ポイントは、価格が5,000円に下落した2ヶ月目にあります。

Aさんは最初に一括投資したため、この価格下落の恩恵を受けることができませんでした。
一方、Bさんは価格が安くなったタイミングで、同じ10,000円でも普段の2倍の量(2口)を仕込むことができました。

これにより、Bさんの平均購入単価は、総投資額30,000円÷総取得口数4口=7,500円/口

となり、Aさんの平均購入単価(10,000円/口)よりも大幅に低くなっています。
最終的に価格が10,000円に戻ったとき、この平均購入単価の差が、そのまま利益の差となって表れたのです。

このように、ドルコスト平均法は、価格の下落局面を「ピンチ」ではなく「安くたくさん買えるチャンス」に変えてくれる画期的な手法なのです。

第3章:ドルコスト平均法のメリット|なぜ初心者に最適なのか?

シミュレーションで見たように、ドルコスト平均法には大きなメリットがあります。
特に投資初心者にとって嬉しいポイントを3つに絞って解説します。

1. 精神的な負担が少ない(感情を排除できる)

投資における最大の敵は、自分自身の「感情」だと言われます。 価格が上がると「もっと上がるかも」と欲が出てしまい、逆に下がると「もっと下がるかも」と恐怖に駆られて慌てて売ってしまう(狼狽売り)。こうした感情的な判断が、多くの場合、高値掴みや底値売りといった失敗につながります。

ドルコスト平均法は、「毎月〇日に〇円買う」というルールを最初に決めてしまえば、あとは自動的に実行されるだけです。日々の価格変動を気にする必要はなく、むしろ「下がったらラッキー」とさえ思えるようになります。
この精神的な安定感は、長期的な資産形成を続ける上で非常に重要な要素です。

2. 投資のタイミングを計る必要がない(高値掴みのリスクを軽減)

「一番安いときに買って、一番高いときに売りたい」というのは全投資家の夢ですが、それを実現するのは不可能です。ドルコスト平均法は、そもそもタイミングを計ることを放棄した手法です。購入タイミングを時間的に分散させることで、偶然にも最高値で全資産を投入してしまう「一括高値掴み」という最悪のシナリオを避けることができます。

3. 少額から始められる

投資にはまとまった資金が必要だと思われがちですが、ドルコスト平均法ならその必要はありません。
現在のネット証券などでは、月々1,000円や、中には100円から積立設定ができるサービスも数多く存在します。お小遣いや節約で浮いたお金からでも気軽に始められる手軽さは、大きな魅力です。

第4章:知っておきたいデメリットと注意点

もちろん、ドルコスト平均法も万能ではありません。
メリットだけでなく、デメリットや注意点も正しく理解しておくことが重要です。

1. 右肩上がりの相場では一括投資に劣る

もし投資を始めた瞬間から市場が一貫して右肩上がりに成長し続けた場合、最初に全額を投入する「一括投資」の方が、より大きなリターンを得られます。なぜなら、価格が安い初期段階で最も多くの口数を購入できるからです。ドルコスト平均法は購入単価を平準化する手法なので、上昇相場での爆発力は一括投資に劣る傾向があります。

2. 手数料が割高になる可能性がある

購入の都度、手数料がかかる金融商品の場合、購入回数が多くなるドルコスト平均法は、一括投資に比べて手数料の総額が割高になる可能性があります。ただし、新NISAのつみたて投資枠対象の投資信託など、現在では購入時手数料が無料(ノーロード)の商品が主流となっているため、このデメリットは以前よりも小さくなっています。

3. 元本保証ではない

ドルコスト平均法は、あくまでリスクを平準化するための「買い方」の工夫であり、投資元本を保証するものではありません。購入を続けた結果、最終的に市場全体が大きく低迷し、平均購入単価よりも価格が下回った状態で売却すれば、当然ながら元本割れとなります。

第5章:今日から始める!ドルコスト平均法の実践ステップ

では、実際にドルコスト平均法を始めるにはどうすればよいのでしょうか。 ここでは新NISA(つみたて投資枠)を利用することを前提に、具体的な3つのステップをご紹介します。

STEP 1:証券会社の口座を開設する

まずは、投資の拠点となる証券会社の口座が必要です。SBI証券や楽天証券といったネット証券は、手数料が安く、取扱商品も豊富なため初心者におすすめです。NISA口座の開設も同時に申し込みましょう。

STEP 2:積立する金融商品を選ぶ

次に、毎月積み立てていく金融商品を選びます。初心者の方には、世界中の株式に分散投資できる「全世界株式インデックスファンド(オール・カントリー)」や、アメリカの主要企業500社にまとめて投資できる「S&P500インデックスファンド」などが人気です。これらの投資信託は、1本で数百〜数千の企業に分散投資できるため、リスク分散効果も期待できます。

STEP 3:積立設定を行う

商品が決まったら、いよいよ積立設定です。

  • 積立金額:毎月いくら投資するかを決めます。(例:毎月3万円)
  • 積立日:毎月何日に購入するかを決めます。(例:毎月1日)
  • 引き落とし方法:銀行口座からの引き落としやクレジットカード決済などを設定します。

一度この設定を完了すれば、あとは自動で毎月コツコツと買い付けが行われていきます。

おわりに

資産形成の基本である「ドルコスト平均法」について、ご理解いただけたでしょうか。 ドルコスト平均法は、特別な知識や才能を必要としません。必要なのは、「早く始めて、長く続ける」という少しの根気だけです。

価格が下落したときに市場から退場せず、むしろ「安く買えるチャンス」と捉えて淡々と積み立てを続けることで、数年後、数十年後には、きっと今日のあなたに感謝する日が来るはずです。

新NISAという素晴らしい制度が整った今こそ、将来の自分のために、ドルコスト平均法を活用した資産形成をスタートしてみてはいかがでしょうか。この記事が、あなたの輝かしい未来への第一歩となることを心から願っています。

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